定年後のマネープラン

定年後の生活に必要な資金

マスコミなどの報道で、「老後に必要な生活費は1億円」などといわれることがありますが、本当に1億円も必要なのでしょうか。

これは、60歳で定年を迎えた人が85歳まで生きるとして、配偶者がおり、1年間の生活費を400万円と仮定したときの25年間にかかる費用です。 単純に老夫婦の生活費として考えると、年間400万円も必要ないように思えるかも知れませんが、「ゆとりのある老後」「生きがいとしての趣味を生かせる老後」などの観点で考えれば、決して大袈裟な数字ではありません。

定年後のゆとりのあるセカンドライフのために、いかにして資産を運用し、25年間で1億円の資金をどのように賄うのかが、定年後のマネープランの大きな指標になります。

自分の人生の現金・資産の推移を考える

まず、自分の家族構成から老後の現金の流れを考え、年ごとにまとめて表を作ってみましょう。自分が望む定年後のライフスタイルを全うするためには、どのくらいのお金がかかり、また、現実にどのようなお金の流れが予測されるのかがわかります。その上で、いまの問題点などを見つけ、理想のライフスタイルを実現するための資金計画を立てるようにします。

1.家族構成とイベント・行事など

自分の家族構成と、年ごとにあるいは何年かに一回、家族で考えているイベントや行事(海外旅行、転居など)をまとめてみます。

2.収入を記入・計算する

見込まれる収入を年ごとにまとめていきます。給与所得や年金所得、あるいは家賃収入などが見込める場合は、年ごとにその予測額を計算します。昇給など所得が増える可能性が高い場合はその率も勘案します。また、定期収入とは別に、退職金や満期保険金受取などが見込まれる年には、その予想額も計算に入れておきます。

3.支出を記入・計算する

基本的な生活費や教育費、住宅費などの予想される年ごとの支出を計算します。また、住宅購入や車の買い替え、海外旅行などを計画している場合は、その金額も支出に加えます。

4.年ごとの収支を出す

年ごとに、予想される収入額から支出額を差し引き、毎年の収支を計算します。残高がプラスになれば、今ある資産を増やすことになり、マイナスになれば、今ある資産を取り崩して生活していくことを意味しています。資金計画を立てる上では、できるだけシビアに考え、収入は少なめに支出は多めに考えておくことが無難です。

現在の資産に毎年の収支残高を加えていき、資産残高の推移を確認します。85歳まで生きるとして、85歳で保有資産の残高がゼロになるようでは、心もとないといえます。さまざまな状況の変化に対応できるよう、100歳くらいまで資産が残っているような状態が望ましいといえるでしょう。

こうして作ったキャッシュフローをもとに、具体的な資金計画を立てていくようにしましょう。

資金計画の3つの考え方

定年時にすでに1億円の貯蓄があるという人は、限られたごく一部の人でしょう。多くの方の場合、定年までの貯蓄、退職金・保険満期金、公的年均等の収入を合わせたものが老後の資金となるケースではないでしょうか。
これらの資金をどのように運用して行くかがポイントになります。基本的な考え方としては次の3つがあげられます。

1.定年後働かない場合は無駄な支出を抑える

定年後働かない場合は、公的年金などの受け取りを除けば基本的に収入はありません。貯蓄等の資金は生活に伴い、しだいに目減りして行くことになるので、長生きしたときの生活費の不安を軽減するためには、切り詰めた生活を送り、無駄な支出はできるだけ控えるようにすることが大切になります。定年時の貯蓄高、資産がどのくらいあるかによって違いますが、一般的に考えると、これではなかなか「ゆとりのある老後」の実現は難しいかもしれません。

2.定年後も働いて収入を得る

資金が目減りする一方では心もとないので、定年後も働いて老後の生活資金の足しにするという方法もあります。門戸は開かれつつあるものの、以前として高齢者の再就職は難しい状況であることは以前の項目で記しました。定年後も再就職してフルタイムで目一杯働かないと日々の生活に影響するというような場合は別ですが、それなりの蓄えがある方々にとっては、パートタイムでも仕事を持つということは収入面の効果もさることながら、むしろ老後も経験を生かして社会や地域に貢献するという「やりがい」の面で有効だといえます。

3.資金・資産を有効に活用する

もうひとつの方法は、すでに持っている資産・資金を有効に活用して利殖を図る方法です。
つまり、お金に働いてもらうわけです。
この方法には投資信託、株、不動産投資、金投資などさまざまなものが考えられます。それぞれに特徴がありますが、第一に考えたいのは、あくまでもゆとりと潤いのある老後の生活のための資産運用だという点です。

利益が大きいものであってもあまりにリスクを伴うものは、この場合の運用には適しているとはいえません。資産を一気に何倍にも増やそうというのではなく、いまの低金利の時代に、せっかくの資金をただ預貯金として眠らせておくのではなく、少しでも利益が出るように有効に運用するというスタンスで取り組むことが大事です。